THE WEDDING PRESENT
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Huw Stephens Session
Hatch Records

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CD only
Huw Stephens Session

FORMAT: CD / Vinyl
RELEASE DATE (U.K.): 9th November, 2018
LABEL: Hatch Records (U.K.)
CATALOGUE No: HAT25V (10" Vinyl & CD) / HAT25CD (CD Only)

TRACK LISTING:
1. Step Inside Love
2. Lovin’ You
3. Our Lips Are Sealed
4. Back For Good

PERSONNEL:
David Gedge : Singing and Guitar
Christopher McConville: Guitar
Terry de Castro : Bass and Vocals
Graeme Ramsay : Drums and Percussion Catherine Kontz : Keyboards
【解説】
 2006年8月29日、ザ・ウェディング・プレゼントはBBC Radio 1でHuw StephensがDJを務める「One Music」に出演(ちなみに同番組は2004年10月のJohn Peel 逝去後、John Peel Showの放送枠で始まった実質的な後継番組だった)。当日は全曲カヴァー曲をオンエアする特別プログラムで、カヴァー曲で有名なTWPは当然この特別な機会に全曲新録のカヴァーを録り下ろすというレディオ・セッションを披露した。
 60年代、70年代、80年代、90年代と各時代のナンバーを取り上げるというコンセプトで、どの曲も良くアレンジが練られ、十分にリハーサルされたことが分かるTWPらしいギター・ロック・アレンジが施されていて、相当唸らされるものだった。
 このレディオ・セッションで取り上げたTake Thatのカヴァー"Back for Good"は2008年作『El Rey』セッションでSteve Albiniの元でスタジオ録音が残され、同作のiTunes版のボーナストラック、限定EP Box『How The West Was Won』に収録されたものの、このレディオ・セッションの出来自体の凄まじさ故に、このBBCセッション音源のリリースはファンからは長年待ち望まれていたものだった。その放送から12年の時を経て、遂に陽の目を見たのがこのEP、『Huw Stephens Session』ということになる。
 発売元はBBC 6 MusicのMarc Rileyのプログラムでのセッションをまとめたコンピレーション『Marc Riley Sessions』のシリーズをリリースしている英Hatch Records。そのシリーズ同様にフィジカル・リリースはCDがバンドルされたヴァイナル盤(今回はEPのため、10インチ盤)、CD盤のみの2種。同時にSpotifyApple Musicなどのサブスクリプション・サービスでも配信されている。
 ラインナップはこの放送の翌年に『George Best』20周年記念ツアーを敢行し、前述の傑作『El Rey』を録音することになる面々で、『George Best 30』や『Live 2007』同様に、この時代の素晴らしいバンド・アンサンブルを堪能できるものにもなっているが、本EPがリリースされることが報じられたのと同時期に、数多くのJohn Peel Sessionが収録され、このセッションも録音された英BBCのMaida Valeスタジオが閉鎖されることが報じられたこともあって、TWP/CINERAMAとJohn Peelの番組双方のファンにとっては1つの時代の区切りとなるような感慨深いカタログにもなった。

【曲目解説】
1. Step Inside Love
(オリジナル)Cilla Black
 まずは60年代編。原曲は1968年の全英No.1ヒット。Lennon/McCartney作/George Martinプロデュース、とくればもう原曲の雰囲気はお分かり頂けるだろう。本家のPaul McCartneyによる弾き語り版がThe Beatlesのアンソロジー・シリーズの中で発掘され話題を呼んだ。その曲がヒットした1968年のスタジオ・セッションからのもので、『Anthology 3』の中で"Los Paranoias"とのメドレーとして聞ける。TWP版は原曲の雰囲気を大切にしながらも、サビで一気にTWPらしいギター・リフが飛び込んでくる快心の出来。TWP最後のJohn Peel Session(2004年9月)にも参加していたゲスト・プレイヤーのCatherine Kontzのグルーヴィーなハモンドのプレイも効いている。

2. Lovin’ You
(オリジナル)Minnie Ripperton
 続いて70年代編。原曲はStevie Wonderプロデュースによる名曲中の名曲。1974年の全米No.1ヒット。この曲もいろんなカヴァーがあるけれど、ほぼ原曲の雰囲気を踏襲したものが多い中、ここまでラウドかつノイジーな解釈はなかっただろう。イントロからDavidの得意のボトル・ネック・プレイが炸裂する名演中の名演!ところで原曲はぜひともオリジナル・スタジオ作『Perfect Angel』収録のアルバム・ヴァージョンでお聴きいただきたい。エンディングのスティーヴィー・ワンダーによるエレピソロが長めに聞けて、この余韻が何とも言えずイイ。

3. Our Lips Are Sealed
(オリジナル)The Go-Go's
 続いて80年代編。原曲は1982年のデビュー作『Beauty and the Beat』のオープニングを飾っていたナンバーで、当時シングル・カットもされ全米20位にランクイン。Go-Go'sのギターだったJane Weidlinと当時The Specialsの一員だったTerry Hallによる共作で、両者がツアーしたのがきっかけで生まれた曲との事。Terry HallはGo-Go'sの1年後にFun Boy Threeで取り上げていて、こちらもイギリスではスマッシュ・ヒットになった。喩えて言うなら『GEORGE BEST』が出た1987年当時にこの曲をカヴァーしていたとしたらこんな感じ、というアレンジで、もろ"I'm Not Always So Stupid"みたいなイントロも含め、4曲の中では最も初期のWeddoesっぽいジャングリー・スタイルのカヴァーっぷりが堪らない。

4. Back For Good
(オリジナル)Take That
 ラストの90年代編。原曲は90年代を代表するボーイズ・グループ、テイク・ザットの後期の全英No.1ヒットで、全米でもTOP5入りし、彼らの楽曲の中では全米での最大のヒットにもなった。スタジオ・アルバム『Nobody Else』の他、ベスト盤にも当然収録。この3年前にCINERAMAのJohn Peel Sessionで取り上げたt.A.T.uの大ヒット"All The Things She Said"もあったが、デイヴィッドが歌うと所謂ティーン・ポップものの歌詞でも全く違う(淫靡な)意味に聞こえるから不思議。後半のノイジーな昂ぶりが最高!このセッションで残されたカヴァー4曲のうち、前述の通りこの曲のみがスタジオで正式にレコーディングされたわけだが、ほぼこのセッション時にアレンジが完成していたことがよく分かる。
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