TWP-CINERAMA:All about The Wedding Present & CINERAMA|ザ・ウェディング・プレゼント & シネラマ 日本語サイト
NEWS | ABOUT & FAQ | DISCOGRAPHY > TWP (I) > CINERAMA > TWP (II) | BIOGRAPHY | TIMELINE | FAMILY TREE |
A to Z | BBC SESSIONS | U.S. RADIO SESSIONS | COVERS | D.L.G | INTERVIEWS | LINKS | MAIL |
        DISCOGRAPHY
  >> HOME >> DISCOGRAPHY >> Ye Ye - The Best Of The RCA Years (2007) >>
YE YE

TITLE: Ye Ye - The Best Of The RCA Years (Compilation CD)

RELEASE DATE: December 10th, 2007
LABEL: Sony-BMG (U.K.)
CATALOGUE No: 88697211822


収録曲目(Tracklisting)  
  1. Kennedy
  2. Bewitched
  3. Brassneck  *Single Version
  4. Don't Talk, Just Kiss
  5. Make Me Smile (Come Up And See Me)
  6. Dalliance
  7. Dare
  8. Corduroy  *Album Version
  9. Heather
  10. Blue Eyes  *Radio remix
  11. California
  12. Come Play With Me
  13. The Queen Of Outer Space
  14. Flying Saucer *Album Edit
  15. Be Honest  *Electric version demo / Previously Unreleased

作品概要  

ザ・ウェディング・プレゼント(以下TWPと略す)が1989年から1993年にかけて在籍し、『Bizarro』、『Seamonsters』、『The Hit Parade』シリーズと、誰しもが黄金時代と認める傑作ばかりを連発した英RCAレコーズに残した音源からセレクトされたベスト盤。同時期に他のSony-BMG系列所属アーティストの廉価版ベストCDが発売されており、本作もその一環ではあるのだが、アートワークも含め、デイヴィッド・ゲッジ自らが監修を行っており、同社のその他のベスト盤のラインナップに比べても丁寧に作られているのがよく分かる。何よりも、ドライヴ中に聴いても爽快感がある様なわかりやすい選曲で、初めてTWPの世界に触れる方にはまたとない入門編だと思うし、年代順に代表曲(シングルだけではなく、事前に公式サイトのフォーラム内でアンケートを取るなど、その民意も反映されたと思われる渋い選曲もあり)を並べたのも潔い編集と言え、またファンには堪らない未発表デモが初登場となった事もあり、昔からのファンも持っていたい1作となった。

曲目解説  

1. Kennedy
1989年10月、セカンド・アルバム『Bizarro』からの先行シングル、そしてRCAレコーズ移籍後初のシングルとして発売。全英シングルズ・チャート最高位33位を記録し、初のTOP 40ヒットになった。
どのアーティストにも、おそらくそのキャリアが長ければ長いほど、そのアーティストにとっての代名詞的な1曲というのは必ずあると思う。TWPにとってはこれがその例にあたるのだろう。しかしラヴ・ソングが主体のTWPにあってこの楽曲のシュールな歌詞はキャリア上でも異色なもの。またデイヴィッド・ゲッジ自身は当初、この曲をシングルのB面くらいにしか考えていなかったのが、他のメンバーに推されてA面曲に昇格したという意外なエピソードさえあり、この曲がもし『Bizarro』から外されていたとしても今となっては納得がいく。それほど個性のある、この曲で到達した世界はあまりに強力で、イントロのカッティングがかき鳴らされたその瞬間に場の空気を一変させてしまうものがある。

2. Bewitched
セカンド・アルバム『Bizarro』収録。同作中ではその歌詞故に、海外のファンの間では1、2位の人気を争う屈指の名曲でもあり、発売年以降、わりとどの時代のラインナップでもステージで演奏されてきたレパートリー。実はデイヴィッド・ゲッジがシネラマで、開始当初から頑なに演奏する事を拒んできたTWP時代のレパートリーをライヴで解禁する事を決意した時に、真っ先に選ばれたのがこの曲でもあった。『Bizarro』では速めのテンポで、アッパーなナンバーが並んでいる為に、どうも昔から日本のファンには軽視されがちだが、実はこの曲こそが、20年以上のキャリアの中でTWPという希有なギター・バンド・アンサンブルのスタイル、そしてデヴィッド・ゲッジという類い稀なリリシストの本来の意味での代名詞的な楽曲であるという事を再認識して頂きたい。

3. Brassneck [Single Version]
セカンド・アルバム『Bizarro』からの2枚目のシングルとして1990年2月にリリース。全英シングルズ・チャート最高位24位。シングル化に際し、米インディーズ界が誇る大物エンジニアSteve Albiniをロンドンのスタジオに招いて再レコーディングされた。今日までその関係が続く黄金のチームの初コラボレーション作品という意味でも記念碑的1枚となった。
この曲もアッパーサイドのTWPの代表曲として不動の人気を誇る。アルバム・テイクとアレンジはさほど変わっていないが、重量感と込められた熱量はこちらが圧倒的に勝っていると思う。ちなみにタイトルの「brassneck」とは単語ではなく、正式には「brass neck」の成句の形で用いる。ストーリーのニュアンスに沿った訳し方をすれば「この恥知らずな女が!」と忌々しく言い放っているような感じになる。『ビザーロ』の最初の日本盤ブックレットでは英俗語解釈である「鉄面皮」としているが、これはちょっと堅苦しい。いずれにせよポップソングではあまり一般的ではないこの言葉を用いた点にも、デイヴィッド・ゲッジのリリシストとしての個性が表れているように思う。
なお、7インチ・ヴァイナル盤の初回3,000枚はメンバー自身が手がけたハンド・ペインティングの特製スリーブで、手書きだったので当然1枚1枚デザインが異なった。

4. Don't Talk, Just Kiss
その「Brassneck」のカップリングとして発表されたスタジオ・アルバム未収録曲。今回のコンピレーションの中では唯一のシングルB面曲からのチョイス。当時のライヴでもハイライトとなる様な名曲であり、新生TWPのステージでも度々取り上げられている。

5. Make Me Smile (Come Up And See Me)
1990年9月に発売された通算10枚目のシングル「3 Songs EP」からのセレクション。Steve Albiniの本拠地シカゴに乗り込んでレコーディングされた。全英シングルズ・チャート最高位25位。Steve Harley and Cockney Rebelの代表曲のカヴァーで、カヴァー曲で有名なこのバンドの長い歴史の中で、カヴァー・ヴァージョンがA面になったのはこれが唯一のケース。ちなみに「3 Songs EP」の前に発売されていたオムニバス盤『Alvin Lives (In Leeds) -Anti tax Poll Trax-』にてこのカヴァーが初披露されている(録音は別のエンジニア)が、そのオムニバス盤でのテイクから遙かにパワーアップ。TWPがギター・プレイにワウを初めて取り入れた事でも話題になったが、けたたましい勢いで駆け抜ける様な圧巻の演奏が筆舌に尽くしがたい。

6. Dalliance
7. Dare

1991年5月発表、Steve Albiniをエンジニアに迎えた金字塔的傑作であるサード・アルバム『SEAMONSTERS』のオープニングを飾った名曲「Dalliance」は先行シングルとしても発売され、全英シングルズ・チャート最高位29位を記録しているが、今回はイントロが長いアルバム・テイクが採用されている。ちなみにタイトルは「もて遊び」という意味合いで、そのイメージから連想される通りの不倫の歌。「イギリスの有名な女流作家のJilly Cooperの夫の愛人だったSara Johnsonという人の哀しい実話に基づいている」(David談)嫉妬心と未練と悔恨とねじれた愛情にまみれたラブ・ストーリーが綴られた『SEAMONSTERS』の序章として強力な存在感を発揮しているし、淡々とした序盤からいきなり爆発する様に場面が盛り上がって、「7年も君と一緒にいたのに、それが遊びだったって言うのかい?」とありったけの恨み節で声を張り上げるデイヴィッドのヴォーカリゼーションも素晴らしい。
アルバムではその終わりにほぼ間髪入れずに「Dare」が始まるが、ここではその曲順/曲間通りに収められている。歌詞はシネラマ時代を通じても頻繁に登場する“一夜の情事もの”のシチュエーション。この2曲の流れは多くのTWPフリークから「永遠にして完璧なるコンボ」として評されている。

8. Corduroy [Album Version]
1990年9月発表の「3 Songs EP」の1曲として初登場。今回はアルバム『SEAMONSTERS』での再録音テイクが採用されている。2番の終わりでしばらく間をおいてから、バンドが一気にスパークしていく構成はこの楽曲の肝だが、何と行っても異様に手数の多い、おかずを入れまくる中でも正確にリズムキープを続けるサイモン・スミスの尋常ではないプレイに舌を巻く。シネラマ〜新生TWPのステージでも頻繁に登場するが、このドラミングだけは誰もそのニュアンスを再現出来なかった。歌詞の「あのコーデュロイのパンツを履いた男の子」はデイヴィッド曰く自分の事らしく、やや私小説的な1曲である様だ。

9. Heather
再びサード・アルバム『SEAMONSTERS』からの選曲。同作中でもその比喩的表現(Heather=荒れ野とTown=都市という言葉に恋愛関係の緊張と緩和を象徴させているのがユニーク)も含め、そのストーリーにおいて特に人気の高い1曲。同作に顕著なスライドを使ったギター・プレイのドローン的な効果が最もよく表れた楽曲でもあると思う。

10. Blue Eyes [Radio remix]
1992年の1年間かけて毎月第一月曜日に1枚、A面オリジナル/B面カバー・ソングからなるシングルを限定15,000枚の7インチ・アナログ盤でリリースするというコンセプトで敢行された月刊シングルシリーズ『THE HIT PARADE』の第1弾として1992年1月にリリース。全英シングルズ・チャート最高位26位。これもまたキャリアを代表する名曲である。プロデュースは英Factoryレーベルのアーティストたちの作品を数多く手がけていたChris Nagleが担当。今回のコンピレーションでは当時北米でRCA時代のカタログを発売していたレーベルFirst Warningがラジオのプロモーション目的でプレスした非売品CDに収められていたRadio Remixヴァージョンが採用。1999年に米Manifestoから発売されていた2枚組編集盤『Singles 1989-1991』にて公式に初登場となったが、イギリス・欧州では今回のコンピレーションで初アルバム化となった。
リミックスといってもリズムを差し替えてクラブ系のリミックスに仕立て上げているようなものではなく、ラジオのオンエア向けにクリアーに聞こえる様にミックスのバランスを変えているもので、元のミックスでは埋もれがちだったドラムの音が前面に押し出され、なおかつパートによっては聞き取りにくかったDavidの声やブレスが鮮明に響いてくる。オリジナル・ミックスはChris Nagleの仕事らしい、いかにも英国インディーズ的な質感のあるサウンドだったが、このリミックスはU.S.のラジオ局向けらしい輪郭のはっきりとした仕上がりになっていて、どうせなら『THE HIT PARADE』シリーズ全曲、こういうリミックスを施したヴァージョンで聴いてみたいものだ、と無性に思わされた非常に罪作りなヴァージョンでもあった。
ちなみにこのシリーズを7インチ盤のみで発売する事を思いついたのは当時のベーシストであり、オリジナル・メンバーのキース・グレゴリー。米インディーズのKレーベルが展開していたInternational Pop Undergroundシリーズなど、7インチ・ヴァイナル盤のシングルズ・クラブがいくつか運営されていて、そこにヒントを得たものだったそうだ。

11. California
12. Come Play With Me
月刊シングルシリーズ『THE HIT PARADE』の第6弾「California」と第5弾「Come Play With Me」。前者は全英シングルズ・チャート最高位16位、後者は全英シングルズ・チャート最高位10位を記録し、特に「Come Play With Me」はそのキャリア上で現時点で唯一のTOP 10ヒットとなっている。プロデューサーはLightning Seedsのフロントマンとしても数多くのヒット曲を世に送り出した名匠イアン・ブラウディ。本シリーズのポップな側面を十二分に引き出す、流石の辣腕を発揮した。

13. The Queen Of Outer Space
月刊シングルシリーズ『THE HIT PARADE』の第11弾としてリリース。プロデューサーのBrian Paulsonは今やポストロックの金字塔的作品として高く評価されるSlintの1991年作『Spiderland』での仕事をメンバーが気に入って起用された。その狙いが見事にハマったのがこの曲。この時期のTWPの最高到達点と言える圧巻のバンド・サウンドは現在も高く評価されている。全英シングルズ・チャート最高位23位。なお、タイトルの"The Queen of Outer Space"は実在する映画の作品名で、1958年公開のアメリカ産SF作品とのこと。実際にその映画からインスパイアされたというシュールな歌詞も印象的だ。

14. Flying Saucer [Album Edit]
月刊シングルシリーズ『THE HIT PARADE』の第7弾としてリリース。プロデュースにはThe Rolling Stones、Trafficなど英ロック史に残る数々の大物の作品を手がけ、当時はPrimal Screamの『Screamadelica』を手がけて話題になっていた巨匠、Jimmy Millerがあたっている。全英シングルズ・チャート最高位22位。7インチ盤発表時にはイントロにハーモニクス奏法で弾かれた短いフレーズが入っていたが、アルバム化の際に編集され、ここでもそのアルバム・エディットが採用されている。いずれにせよ、TWPにしか出せない特異なバンド・グルーヴの醍醐味が堪能出来る名曲であり、今日もなおライヴの定番となるなど、ステージ映えするサウンドも特徴的。なお曲中で聞かれるU.F.O.の飛行音のS.E.は、曲名に引っ掛けて60年代のSF-TV番組『U.F.O.(邦題:謎の円盤U.F.O.)』の劇中で使用されていたものをサンプリングしたもの。そのテーマ曲はこのシングルの4ヶ月後にリリースされた上の「The Queen Of Outer Space」のカップリングでカヴァーされた。
なお、この『THE HIT PARADE』シリーズは発売された全12枚が全英TOP30にランクインし、当時(奇しくも同じRCA所属アーティストの大先輩でもある)Elvis Presleyが有していた1年間のチャートイン曲数記録に肩を並べるギネス・レコードになったが、Elvisのが大半が過去のナンバーの再リリース作品だった事を考えると、新録音の新曲のみで達成したこの記録は前代未聞と言えるものだった。

15. Be Honest [Electric version demo / Previously Unreleased]
今回、ファンの為に用意されたビッグ・サプライズがこれだった。1989年10月発表のセカンド・アルバム『Bizarro』のエンディングを締めくくっていた「Be Honest」の未発表デモ・ヴァージョン。アルバムではセミ・アクースティック編成でのアレンジが施されていたが、ここで聴けるのはエレクトリック編成の、よりロックなバンド・アレンジ。同作品の中でも最も早い段階でライヴで演奏されていたのがこの楽曲であり、まさにそのライヴ時にはこのアレンジで演奏されていたのだった。1988年のスペイン・ヴァレンシア公演でのライヴ・テイクは公式ブートレグ・カセットの第4巻でも聴ける(おそらく将来的に『LIVE 1987』の続編としてCD化されるだろう)が、それにしてもこういうデモ・テイクがまだ残っているのなら、いつの日かまとまった形で(それこそ、Pixiesの俗称「THE PURPLE TAPE」の様に)世に出して欲しいものだが。

関連文章  



外部リンク  

(last modified : 12th December, 2007 / first published : 12th December, 2007)

△TOP

TWP-CINERAMA[dbjp] is not responsible for the content of external sites.
© TWP-CINERAMA[dbjp] All rights reserved by Yoshiaki Nonaka except where noted.

Conceived & Conpiled with love by YOSHI@TWP-CINERAMA
First published on the internet in February 1998