INTERVIEWS

Simon Smith : I Used to be in The Wedding Present
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 サイモン・スミスは1988年1月に加入し、全盛時代の『Bizarro』『Seamonsters』『The Hit Parade』、そして1997年の活動停止(ただし、活動停止宣言をした訳ではないので、“結果として”そうなった)時まで在籍した、つまり旧TWPにおける大半の作品のドラミングを担ってきたメンバーであり、それは同時にTWPならではのバンド・サウンドの方向性を決定づけてきたと言っても過言ではない非常に重要なパートだった訳です。今持ってその特徴的なギター・サウンドのみがクローズアップされがちなバンドですが、あのサイモン・スミスの超絶的かつ個性的なドラムスなくしてTWPの他に類を見ないバンド・スタイルは確立し得なかったのは改めて言うまでもないでしょう。そんなTWP黄金期を支えてきた彼のコメントには新生TWP、並びにその中心にいるデイヴィッド・ゲッジへのやっかみとも恨み言とも取れる非常に複雑な思いが表れていますが、過去に一度は再始動のオファーを袖にしたという経緯を忘れてしまったかの様な発言部分にはちょっと反論したくなる所ではありますし、CINERAMAから新生TWPへの移行はデイヴィッド・ゲッジ自身の心情的な変化も含め実際にはもっと複雑な経緯と背景があるのは周知の通りですので、サイモンの発言を鵜呑みにして現在のTWPの存在を貶めるのはフェアではないでしょう。とはいえ、これを読めばかねてから言われてきたように、かつてのTWPがデイヴィッド・ゲッジをリーダーとしたものではなく、あくまで4人のメンバーによる民主的な性格を持った集合体であったもので、新生TWPがかつてのそれとは多少趣を異にするバンドである事がわかりますし、サイモンの近況に関しても様々な新事実が明らかになっており、興味は尽きません。また今現在もサイモンがTWPへの未練を断ち切れないでいるのも同時に伝わってきますが、後日談としてこのインタビュー公開後に、主催者のMartin氏の所に来たサイモンからのメールにはもし仮にKari Paavolaが『Take Fountain』制作前に脱退していて、もし彼にお呼びがかかったのなら再加入の心づもりはできていた、というコメントがあったそうです。[last modified 27th April, 2005 : Japanese translation by YOSHI@TWP-CINERAMA /Special thanks to all the crew on Something and Nothing.]


Q. TWPで過ごした時間を短い言葉で表現してください。

普通の仕事に就くよりはマシだった


Q. なぜTWPを離れたのか、その理由を正確に教えてください。

僕は一度もTWPを離れたつもりは無いんだけどね。
僕らはデイヴィッドがしばらくCINERAMAをやりたいからと1996年を最後に(それとも97年だったかな?){訳注:1997年1月}ツアーを止めた。
だからデイヴィッドがCINERAMAとして完成させたアルバムをTWPの名前で出したいとe-mailをよこしたのには本当に驚いたんだよ。
で、「僕はまだTWPのメンバーなんだけど…」と言ってやったし、僕はそのアルバムの制作に全く関わってないんだから、それをTWPの名前で出すべきじゃないでしょ?、ってね。
だいたい、メンバー全員がCINERAMAなんだから、それはTHE WEDDING PRESENTって言わないよ。
たぶんCINERAMAで出すよりはTHE WEDDING PRESENTで出した方が売れるだろうと踏んだから、彼はそうする事にしたんだろうさ。
{訳注:このサイモンの発言には疑問がある。オフィシャル・ファンジンOrange Slices Issue 9掲載のTerry de Castroによるレコーディング日誌によればCINERAMAとしてレコーディングした作品をTWP名義で発表したのではなく、レコーディングに入る前からTWPにするか否かのディスカッションが行われた末に、TWPとして新作の制作する決定を下したというのが真相の様である。すると、この発言はやや自分の都合の良いように解釈している気がする。}


Q. TWPを離れてからしばらくの間、グループの一員として過ごした時の事で何か恋しくなった事があったら教えてください。

Riverside Rehearsal Studiosでタダで配ってくれたトースト


Q. 何か後悔している事はありますか?時々まだグループの一員であったらいいな、と願った事は?

そりゃあもう。デイヴィッドにも去年言ったんだけど、どこかの段階でそれに相応しいリユニオン・ツアーがあるのを楽しみにしていたんだ。もうそれは無いだろうけどね。また馴染みの顔が集まれるように(デイヴィッド一人の“リユニオン”の立場から)他の以前のメンバーたちに声をかけてくれたんなら、と思うと残念だよ。{訳注:デイヴィッド・ゲッジ2001年8月のインタビューによれば2001年7月に『Bizarro』『Seamonsters』のリマスター盤再発に際し、CINERAMA/新生TWPとしても活動を共にしているパートナー、ギターリストのSimon Cleaveを除く1997年当時の残りのメンバー、このSimon SmithとベーシストのJayne Lockeyにプロモーションを兼ねてライヴがしたいとTWP再始動のプランを持ちかけたが「スケジュールを合わせようとさえしなかった」という事でそのオファーを2人とも断っている。そんな経緯もあり、また強力なドラマーKari Paavolaの存在によってバンドがよりハードなレパートリーに対応できるようになった事もあって、デイヴィッドはCINERAMAのステージ上でTWP時代のナンバーを解禁する事にもなったのだが、ここでの発言はその自身が拒否した過去をすっかり忘れているかのようだ。なお、本文中に“リユニオン”とあるのは原文表記通りに従ったもので、実質上はCINERAMAからの改名であったのは改めて申し上げるまでもない。}


Q. あなたがTWPで最高の瞬間だったと思う楽曲、もしくはパフォーマンスはありますか?

『Seamonsters』のレコーディング


Q. TWPでのフェイヴァリット・レコードを教えて下さい。
(a) あなたが参加しているもの と (b) 参加していないもの の両方で。

(a) 『Seamonsters』
(b) "Once More"


Q. どの会場/フェスティヴァルでの演奏が“背筋をゾクゾクとさせる”(良い意味でも悪い意味でも)ものでした?

全てのフェス。僕らのモニター・エンジニアを連れて行けなかったから全部ヒドいもんでね。ステージ上ではモニター音がおぞましい事になってた。自分の頭の2フィート上にあるスピーカーから出てくるそれはそれは独創的なミックスが施されたサウンドと馬鹿でかいノイズが無視できないくらいのものだったから、いつも最初の曲では演奏に何とか集中しなくてはならなくてね。


Q. デイヴィッド・ゲッジについて、ファンが知らない秘密があったら教えてください。

何か一悶着起こしたいっていうんだろ?


Q. バンドを離れてからTWPかCINERAMAを観た事は?

ある。数年前にニューカッスルでCINERAMAを観た。


Q. 今現在デイヴィッド・ゲッジとはどういう関係ですか? まだTWPに再参加出来ると考えていますか?

そりゃあ、言わない方がいいと思うよ。


Q. 近況を教えてください。

現在はSlintのツアー・マネージャーをやってて、昨日の晩はワシントンD.C.にいた。明日はシカゴでの3日間公演の初日。今クリーヴランドを車で通過した所で、雨が降っている。1998年からツアー・マネージングをやってて、楽しんでるよ。音楽的にはキース・グレゴリー{訳注:TWPオリジナル・メンバーであるベーシスト}と僕は2作のCha Cha Cohenのアルバムを作ったし、Beachbuggy{訳注:やはり元TWPのベーシスト、Darren Belkが結成したバンド}のアルバムでもプレイした。それからBlokkerの名前でソロの、あんまり意味の無いサンプリング・ミュージックを作ったりもしていた。これからThe Sinister Cleanersっていうバンドにいたとても古い友人たちと何曲かレコーディングしようと思っている。{訳注:The Sinister CleanersはサイモンがTWP加入以前に参加していたLeeds出身のバンド。同バンドには後のThe UkraniansをTWPのオリジナル・ギターリストPeter Solowkaと共に結成するLen LigginsとTWPのローディーとしても活動したJohn Parkesがいた。}


Q. あなたのロフトにはTWP関係のお宝がありますか?

持ってるよ。The Hit Paradeシリーズの7インチとか…ちょっとカビさせちゃったんで僕のガールフレンドのDebbyはイヤな顔するんだけど…かつてはレコード屋で働いてて、このバンドのファンだったからね。彼女はTWPの1997年のU.S.ツアーでセカンド・ドラムで廻ったんだよ。 {訳注:このDebbyとはMergeからレコードをリリースしていたButtergloryのメンバーDebby Vander Wallの事。TWPは1995年のシングル"Sucker"のカップリングで彼女たちの"Waiting on the Guns"をカヴァーした。ちなみに彼女がセカンド・ドラマーとしてツアーを廻ったのは1996年春のツアーの間違い。}


サイモン・スミスだけへの質問

Q. 今マネージメントの仕事で関わっているバンドにはどんなバンドがいますか?

実際には「ツアー・マネージャー」だから意味は大きく違うけどね…葉巻もやらないし、毛皮のコートも、高価な時計もね!それはいいとして、Mogwai、 Burning Brides、 Groop Dogdrill、 Cornelius、 Fugazi、 Emiliana Torrini、 Super Furry Animals、そして今はSlint、といったところだね。


Q. ツアー・マネージャーって何をやる仕事なんですか?

MogwaiのStuart Braithwaiteによれば僕は「懐中電灯にやたらと金を使うやつ」(一応、これ彼特有のユーモアだからね)。もしくはデイヴィッド・ゲッジ曰くの「150ポンドでホテルの部屋を予約してくるやつ」。


Q. ドラマーとしてのアイドルは誰ですか?どういう風に評価してますか?

特定の人はいないけど、(Slintの)Britt Walfordが僕の今のお気に入りだ。Sonic YouthやThe Pixies、The Fallにもずいぶん入れ込んだから、影響という意味ではカウントされるんだろうな。

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