Davidに起こったハプニング~カバーソングについて
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Q. ところであなたが雷に打たれそうになった、って聞いたんだけど。
DG.-今日みたいな日だったよ、ホントに。ものすごく暑い日で、フランスの音楽誌のためのインタビューを受けていた。で、そのインタビュアーの女の子がスタジオにやってきて、僕らは屋根へと登った。少し雨が降り出して彼女は「中に入らない?」って尋ねた。で僕が「そうだね」って応えようと思ったその時、相当強烈な、言葉では正確に説明出来ないような眩しい光と共に爆発が起こって...。で、その時「やばい!雷に打たれる!」って思って、走って下に逃げたよ。他の連中は「あ、雷が鳴ってるねえ...」って感じだったけどね。でも僕はもうガタガタ震えてしまって。それからスタジオに入って来た男が「救急車を呼んだ方が良いよ。表で誰か雷に打たれたみたいだから」って言うんだ。で、外に出てみたら僕らが居た場所から60フィートぐらいの付近でイタリアの小学生の子供達の集団がいて、ちょうど雷に打たれたところだったみたいでね。恐ろしかったな、あれは。ショックを受けたよ。でも中には顔を切ってしまった子もいて、何しろ雷の勢いで空中に放り出されたぐらいだったんだって。靴がバラバラになった女の子もいたり。通りかかった人は「みんな大丈夫か?」って訊いていたけど、みんな喋れないんだよね。恐かったのもあるだろうけど、彼らは旅行で来ていた訳だから。あの後あの子たちが両親とかに書く絵ハガキの事とか想像したらおかしくてさ。「国会議事堂を見て、ロンドン・タワーを見て、雷に打たれました」みたいな(笑)。もちろん彼らはみんな大丈夫だったと思う。そして僕はこれまでに無い程、雷を恐れるようになった。
Q. 今まで(男女の)関係についての唄を書くのに飽きた事は無いの?
DG.-無いね、本当に。僕はたぶんそういうのが専門なのかもね。今まで他の事象について書いた時代もあったけど....ヘヴィーな内容だったり政治的な事だったり、SFっぽかったり。
Q. 92年の『The Hit Parade』シリーズにはそういうSFっぽいものがありましたよね。「謎の円盤U.F.O」のテーマ曲のカバーとか{訳注:現在は2枚組新装編集盤『The Hit Parade』にも収録}。僕は長い事あの曲が何の曲だか知らなくて、それからNew Yorkに引っ越してきてからケーブルTVに入って、その中にSCI-FIチャンネルっていうのがあるんですよ。ある日曜日にチャンネルをカチャカチャとザッピングしてたらあの曲が聴こえてきて。それで驚いて「ああ~、Wedding Presentはこれをカバーしたのか」って。
DG.-あれに僕らの世代は虜になったんだよね。本当に複雑な内容で。もう一度実際に聴いてみたいな、あのテーマ曲。奇妙だけど、素晴らしい音楽だと思う。
Q. ライヴで演奏したことはあります?
DG.-神に誓って、無い。あれはスタジオで録るのも時間が掛かったし、ライヴでなんてもちろんない。
Q. 他にカバー曲をライヴで演奏したことはあります?
DG.-時々やった事はあるけど、今ではWedding Presentのオリジナルが相当あるから、そういうカバーをセットリストに組み込むのが難しくなっている。でもどんな曲をやってもみんながみんな満足する訳では無いしね。いつも「何であれをやらないんだ!」って言われるし。でもカバーをレコーディングするのは好きだよ。僕らは実験的な傾向があるだろ?たとえElton Johnのある曲を解体しても、自分たち自身のイメージを破壊する事にはならないし{訳注:実際に彼らはElton Johnの曲"Step Into Christmas"を『The Hit Parade』シリーズでカバーした}。
Q. あなたたちのカバー・ソングで好きなものは何ですか?
DG.-たぶん"Falling"{訳注:Twin Peaksのテーマ}か"U.F.O."のテーマだろうね。振り返ってみるとHit Paradeの最初の方のカバーには完全に満足していないんだよね。要するにGo-Betweensのカバーをやったけど、「だから何?」って感じでしょう?当たり前過ぎて。でも「シャフトのテーマ」みたいなのは、まあばかばかしい所もあるけど、楽しいしね。でも所詮はB面だから。だからそういうのを試すのには良いスペースだよね。
Q. あなたたちはThe Fallのトリビュート作に参加している、って聞いたんですけど。確か『Deadbeat Descendants』とか何とかっていう...。
DG.-ああ、リリースされたばかりだよ。僕らは"It's a Gas"のB面にも入っている"Jumper Clown"を提供した。それはFallのオリジナルではないんだけども。 {訳注:後年判明した事実だがこのトリビュート作、実際にはリリースされなかったようだ。またこのためにレコーディングされた"Jumper Clown"は既発テイクとは異なるオルタネート・ヴァージョンという説がある。}
Q. 確かオリジナルはCreepersですよね。
DG.-そう。僕らは何年もの間何十曲もFallのカバーを試みてきたんだけど、上手くいかないんだよね。Fallの曲の多くはMark E. Smith{訳注:同バンドのリーダーでヴォーカリスト}の声が重要な要素になっているでしょ。彼独特のマンチェスター訛りの入った。真似のしようがないんだよね。やってもチープな感じになってしまうし。だから代わりに...って言うのもおかしいんだけどさ。あの曲はMark E. Smithについての歌なんだよ。Marc RileyはFallをクビになった{訳注:Marc Riley & the CreepersのリーダーMarc RileyはThe Fall初期のベーシスト/ギターリスト}から、あの曲でMarkの事を「Jumper Clown」{訳注:浮かれた道化、みたいな意味か?}って茶化した。僕はKeith{訳注:キース・グレゴリー/初代ベーシスト}がバンドにいた頃にCreepersのアルバムに参加するように誘われた事があって、実は話しだすと長い話なんだよ。それで、僕らがHit ParadeシリーズのB面でやったDavid Bowieの曲の解釈がまるでThe Fallの物真似みたいだって言われていたらしくて、それでその「演奏のスタイル」で彼らにトリビュートしたって訳。
Q. "Sucker"{訳注:95年のシングル。現在は編集盤『Singles 1995-'97』に収録}も実にThe Fallっぽい曲ですよね。"So Long, Baby"はPavementみたいだし。あのギター・リフは彼らの"Two States"との共通点が見出せますけど。
DG.-僕らは他のグループの音に似ない様に努力しているけど、時々君が指摘するような事もあるね。それは否定しない。
Q. あなたがRolling Stone誌のコミック・ブック「Alt-Rock-A-Rama」にコミックに関する文章を提供する事になった経緯を教えて欲しいんですけど。
DG.-何それ?
Q. Rolling Stone誌が新しく出したミュージシャンによるコミックに関する文章とそのコレクションを紹介している本で、その中で"David Gedge's Top Ten Favorite Comic Books." っていうコーナーがあったんですが。
DG.-Rolling Stoneの本で?
Q. ええ。
DG.-ふーん、恐いな。それ僕がリヴァプールの雑誌のオファーで編集者にfaxしたものだと思うんだ。確かコミックの特集とかで。僕もかなりマンガ好きだからね。それで文章を書いてくれないか、って頼まれたんだ。ちょっとした時間だったけど、そのリストを作って「こんなもんかな」って感じで。それから文章を付けてね。僕はどっかのファンジンか何かに載るもんだとばかり思っていたけど、そのRolling Stoneの本に関しては初耳だな。何とか取り戻して文章を書き直せるか訊いてみたいな。出版権がどうなっているか知らないけど...。 |