INTERVIEWS

The Wedding Present (Sandman Magazine Issue019)
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デイヴィッド・ゲッジの故郷リーズをはじめ英ヨークシャー地方で無料配布されている月刊音楽誌"Sandman Magazine"Leeds版の2005年4月号に掲載された記事です。デイヴィッド・ゲッジへのインタビューを中心に構成されたもので、いつインタビューされたものかが明記されていませんが、冒頭の段落の記述からこの春のU.K.ツアー中、3/6のLeeds大学公演後と推察致します。あまり目新しい事実はありませんが(これまでもこの後も何千回と訊かれているであろうCINERAMAから新生THE WEDDING PRESENTへのフェイズの移行についてなど)、地元紙とあってイギリスとシアトルの違いなどについての質問など、他のインタビューに無い切り口もあって、なかなか面白い内容になっています。[last modified:7th July, 2005 /Japanese translation by YOSHI@TWP-CINERAMA]


リーズ出身のKaiser Chiefsのおかげで、リーズはこれまでに無いほど脚光を浴びつつある。だから彼らのアルバム『Employment』が発売されるその直前、同じリーズ出身で以前のインディー・チャートの花形だったザ・ウェディング・プレゼントが(バンドの唯一の結成メンバーとなってしまったデイヴィッド・ゲッジによれば1997年以来ライヴを行ってなかったらしい)Leeds Metropolitan Universityでその凱旋を歓迎されたのは絶妙なタイミングだったのではないか。デイヴィッドは言う。

「リーズに戻ってきて一番奇妙だったのは、前なら僕はライヴをやったらそのまま家に帰っていたのに、今夜はホテルに行かなきゃいけないって事だな。それってなんか変だよね。」
{訳注:御存知の通り、デイヴィッドは現在リーズを離れ、新しい恋人Jessicaと一緒にブライトン近郊に暮らしている。『TAKE FOUNTAIN』製作期間中は米シアトルのQueen Anne通りにアパートを借りて暮らしていた。}

ここが懐かしい?昔の曲を再び演奏する事にも興奮する?

「全然そんなことはないよ。」デイヴは主張する。
「だってこれは明らかに“再結成”でも無ければ“グレイテスト・ヒッツ・ツアー”でも無いからね。僕に関する限りではザ・ウェディング・プレゼントは活動を一旦休止した1997年からずっと続いてきたものだし、前がシネラマのツアーだったのと同じ様に今回はザ・ウェディング・プレゼントのツアーだっていう事。本当に、僕にとってはいつもと一緒なんだよ。このツアーに関しても特別な事は何も無い。みんなそうあって欲しいんだろうけどね。
でも変な話だよね。だってこのアルバム『TAKE FOUNTAIN』をザ・ウェディング・プレゼントのアルバムとして出そうと決めた時、ほとんど簡単な選択だったんだよね。“僕にはザ・ウェディング・プレゼントっぽく聞こえるから、これはザ・ウェディング・プレゼントって呼ばないか?”コインをトスして、“OK、じゃザ・ウェディング・プレゼントだな”という具合でね。別に重大な決定じゃなかったし、どういう風にそうしたかなんて忘れるくらいでね。そしたら、その名義の変更を決めた途端、みんながみんな“えっ!ザ・ウェディング・プレゼントだって!”みたいになってね。」

その事で少し悩まされたんじゃ?前のシネラマのツアーでは少なくとも5曲はザ・ウェディング・プレゼントの曲をやってましたけど、この規模の会場では演奏していなかった訳で、で名前を変えたら…これって急展開ですよ。

「多少は悩ましかったよ。だってこれじゃシネラマがまるで悪いグループだったみたいじゃないか。たぶん僕は名前の持つ大きさをだいぶ過小評価していたんだろうね。」

フランク・ブラックとザ・ピクシーズと同じ様な状況を抱えてたんですね。

「リーズのThe Leadmillでフランク・ブラックを見たけど、ピクシーズの曲は全て喝采を浴びて、そうじゃない曲は全部、ほとんど無視されてたとは思わないよ。少なくとも僕らに関しては、新曲は受けが良い。だから(名前の事でとやかく言われるのは)少しいらつくよ。この新作の『TAKE FOUNTAIN』はまだ自分には近すぎるから客観的になれないけど、それを除けば前のシネラマでの『TORINO』が自分が作った中では最高のアルバムだと思う。」

確かに歌詞に関してはそうですね。シネラマではあなたはキャリアでも最高の歌詞を書いてたと思いますが、それがバンドをより叙情的な方向へと向けたんじゃないですか?

「それほどでもない。」とデイヴはみなしている。
「どんな事にでもある、それが成長したスキルだということ。ここ何年かでたぶん僕も良くなってきたとは思うよ。今初期の作品を何曲か振り返ってみると、ちょっとナイーヴに聞こえるし、ちょっと何かが足りなくて、もしソングライターだったら、もしくは写真家でも作家でもいいけど、きっともっと発展させたいと思うものだよ。」

バンドのフロントマンである以外に、デイヴはシネラマとザ・ウェディング・プレゼントのレーベルScopitonesも運営している。バンドの知名度からすると、仕事量が膨大になりやしないのだろうか?

「余分な仕事はあるけど、心から楽しんでやってるからそんなに大変とは思ってないし、自分でコントロール出来るというのは良いことだよ。」デイヴは認める。「所属レーベルの人間とミーティングを持たなきゃならないとか、どれをシングルにするか、アルバムのプロデューサーには誰がいいのか、とかを話さなくちゃいけない、みたいな状況は嫌なんだ。やり方は全部わかってるから、誰かが部屋に入ってきて“まあ、僕がお金を出してるんだから、やってもらわなきゃならないよ”なんていうのは御免だ。僕にとっては完璧な状況だし、その分余計に働かなくてはならないけど、死ぬ訳じゃないしね。僕らはツアー・マネージャーを雇ったこともないんだよ。だって誰かが自分のホテルを予約したりバンをレンタルする為にお金を払うのなんて理解できないよ。自分で出来ることなんだから。別に難しい事じゃないさ。」

ニュー・アルバムの『TAKE FOUNTAIN』に関して、デイヴは彼が作ってきた作品の中で最もパーソナルなレコードだと言う。長年のパートナーと別れ、新たなパートナーに出逢う…まるで日記のようだ。

「簡単な話だよ。前のアルバムではもうちょっと想像を働かせて書かなくてはならなかったけど、今回は他のアルバムに比べたら楽に書けた。それとシアトルに移った事も大きくて、そこでの体験も元になっている。ものを書く視点から言えば、ものすごく刺激を受けたよ。」

シアトルでの生活はどんなものだったのだろう?

「あの街は好きだよ。アメリカでも最高のお気に入りだ。知り合いもたくさんいる。あそこでSteve Fiskと『Watusi』を録音したんだ。かなりヨーロッパの雰囲気がある街でね。奇妙なのはあそこで暮らしている時はイギリスの文化が恋しくなってね。サッカーの試合結果を知りたいとかね。そのためにはインターネットに繋ぐか、8ドルもするイギリスの新聞を買わなくちゃいけない。『Top of the Pops』を観るにはケーブルTVに加入しなきゃいけないからね。イギリスにいたらそういうのは探さないで済む。でもこっちに戻ってきたら、今度はシアトルが恋しくなってきた。高水準な生活とか、暮らすのには素敵な場所だからね。まあ一長一短ってやつかな?隣の芝は青く見えるものだからね。」

シアトルと言えば、スターバックスは恋しくならなかったのだろうか?

「そんなにコーヒーは好きじゃないんだ。」デイヴは笑ってそう言った。
「濃すぎるし、ブラックのままじゃ飲めない。僕はMellow Birdsの砂糖なしが好きなんだ。」
{訳注:Mellow Birdsはイギリスではポピュラーなインスタント・コーヒーのブランド}

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