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Interview with David Gedge (February 17th, 2005) [抄訳]
原文はこちら

Ready Steady Jedi.comに掲載されたデイヴィッド・ゲッジ・インタビューの訳出です。新生TWPの『Take Fountain』発売を受けたU.K.ツアー2日目が行われた2005年2月17日、Galway"Cuba"公演後に収録されたもの。当時行われていた新生TWPとしては初の英国〜欧州ツアーのこと。そしてやはり改名/新作に至るまでの経緯がメインの話題になっています。[last modified:24th May, 2005 /translation by YOSHI@TWP-CINERAMA]


まず、よく訊かれる質問でしょうが、一体どの時点でCINERAMAのアルバムがTHE WEDDING PRESENTのアルバムになったんですかね?
う〜ん、たぶん、時間がいくらあっても足りないくらい長い話になるよ(笑)。まずね、第一のポイントとなったのは、CINERAMAというのは僕のガールフレンドと始めたものだったけど、3作目の『TORINO』の後に彼女が離れて、その時点でもうCINERAMAじゃ無くなってしまった感じでね。彼女がいなくなってからのCINERAMAとしてやった最初のツアーの事を思い出すんだけど、別に彼女がいなくなった事で大きな影響は無くてね…だから彼女の代わりは入れなかったし。で、この4人のラインナップに戻ったので、ただギター・バンド向きに楽曲をリアレンジした、それだけの話。TWPの曲もずっとライヴではやってきていて、一方で今まで通りこの新作のための楽曲もここ何年かで書きためていたんだけど、段々サウンドがTWPっぽくなってきてね。思うに、3作もアルバムを作ってきて、僕のシステムからオーケストレーションのアイデアは出し尽くしてしまったし、オーケストレーションやフィルミック・ポップ・グループ的な作品を書くよりも、ギター・バンドに戻った方が良いだろうってね。「じゃあ、それはThe Wedding Presentって呼ぶしかないよね」って思った訳で。だって、もしアルバムを聴いた人がCINERAMAだと思ってたのに実際のサウンドはまるでTWPそのものな訳で、混乱するだろうからね。CINERAMAでJohn Peel Showでのセッション{訳注:2004年1月6日放送、CINERAMAとして現時点で最後のPeel Session}をやった時に担当したエンジニアが聴いて「こりゃあThe Wedding Presentじゃないか(笑)。君らは何を考えてるんだ?これをCINERAMAって呼ぶのかい?」って言ったんだよ。で結局、僕らはアルバムをThe Wedding Presentとして発表する事になった。

『TAKE FOUNTAIN』の歌詞に関しては明らかに個人的なものがあります。今回のツアーで歌ってない曲の中で「これは自分自身そのものだ」というものがありますか?
いや、だって僕はさ…(沈黙)。

もう過去には囚われていない?
まあ、そんなには…。でもまあ、ちょっとはあるだろうね。なぜってその歌詞には自分の人生について考えさせるものがあるからで。でも時と場合によるね。僕はこの作品を完成させようと努めたし、その意味では思い当たる歌詞の1つ1つを目にする度毎に厭な思いをしなければならない。それだけの価値はあったと思うし、とにかく出来る限り形にする事はできたと思う。

今日のライヴは昨晩と同じセットでしたが、残りのツアーもこのままで行くつもりですか?
いや、僕らはただ…(沈黙)。

その日の気分によるとでも?(笑)
イヤイヤ、ただツアーが始まったばかりだからさ。みんながツアーに慣れて、上手く演奏出来るようにね。セットをいじり始めると、気持ちを切り替えるのが大変だから。昨晩のセットは上手くいったし、経験を重ねてモノにしていけばいいと思うよ。ダブリンのショーでは少し変えるつもりだよ。おそらく前にやったベルファストのライヴを観たファンもやってくるだろうからね。
{訳注:2004年2〜4月のU.K./欧州ツアーの序盤は都合2種類のセットが用意されたが、大半が通称“Aセット”と呼ばれる20曲のセットで行われている。そのセットとはInterstate 5 / Crawl /Drive / Queen Anne / Go-Go Dancer / Starry Eyed / Spangle / My Favorite Dress / Venus / Health & Efficiency / It's For You / Careless / I'm From Further North Than You / Kennedy / Perfect Blue / Once More / Ringway to SeaTac / Dalliance / Dare/ What Have I Said Now?。このGalway"Cuba"公演はこの“Aセット”で行われていた。インタビュー中にあった2/19 Dublin"Village"では通称“Bセット”("Spangle"の箇所に"The Queen of Outer Space"、"Careless"の箇所に"146 Degrees"が入れ替わったもの)で行われている。ツアー後半、並びに4〜5月の北米/カナダ・ツアーでは通称“Aセット”に"The Queen of Outer Space"を加えた21曲で行われ、また会場によっては新たに通称“Cセット”と呼ばれるセットが用意された。通称“Aセット”のオープニング"Interstate 5"の箇所に"Bewitched"、"Careless"の箇所に"146 Degrees"、"Once More"の箇所に"Anyone Can Make a Mistake"が演奏された。}

ツアーでのセットリストはどういう風に決めているんですか?
実は僕じゃないんだよ。ギターリストのサイモン・クリーヴだからさ、決めたのは…僕には荷が重すぎるんだ。まあ、彼にとっては楽だったと思うけど。バンドの全部の時代にいた訳じゃないからね。

彼ならもっとファンの視点に近いものを持ってるでしょうし。
そうだね。なんて言ったらいいのかな、もっと…客観的な視点を持っていると思うよ。

あなたが選んだら、もっと違うセットになりますか?
(沈黙)…たぶんそうだね、よくわからないけど。彼はもうちょっとノイジーなやつが好きなんだろうな…まあ僕も嫌いではないけど、僕だったらもうちょっとポップなやつも組み込むだろうね。「Drive」みたいに極めてポップなやつとかね。でもこのセットにかなり近いものになるんじゃないかな。彼は僕がやるように極めてシステマティックに選んだと思うんだ…僕は数学専攻の出だったから、1枚のアルバムから1曲とか何とかみたいにすると思う。彼もそんな風にしたみたいだし。『The Hit Parade』シリーズから1曲、『Seamonsters』からは2曲、あとCineramaからも何曲か、という具合に。とにかく、グレイテスト・ヒッツ・ショーのノリにはしたくなかったんだ。たとえしばらくプレイしてなかったんだとしてもね。そういうショーをやったら、きっと後味の悪いものになるからさ。

The Pixiesがカムバックして、グレイテスト・ヒッツ的なセットをやっている事についてはどう思います?
あぁ…でもまあ僕の事じゃないから。つまり、バンドが望んでそうしたいのならいいんじゃないの、っていう事で。The Pixiesは僕のオールタイム・フェイヴァリット・バンドの1つだしね。別に他の人がどうしようが構わないよ。僕にはそういうアイデアは馬鹿げているように思えるってだけで。っていう事は言わない方がいいのかな(笑)。もし5年後にカムバックしたらこう言われるのかな「あなた確かこう言ってましたよね…」

ええ、「なのにあなた一体全体何やってんですか?」って(笑)。12ヶ月前の自分を見るみたいで。
うん、みんなやってるからね。

そうそう、あなた方も戻ってきたし、The Cocteau TwinsもCoachellaフェスティヴァル以降にさらにギグをやることを発表してましたけど…
{訳注:結局この再結成話はエリザベス・フレイジャーが拒否した事で流れてしまった。}
あとはGang of FourにHouse Of Love…僕にしてみれば、みんなお金目的で帰ってきたんだと……僕らはカムバックやら何とかとは思ってないし、大体この世界から離れていたのでもない。ただ僕は自分がやってきた事を続けているだけだ。またThe Wedding Presentと名乗ることにしただけであってね。

それをThe Wedding Presentと呼ぶのはあなたにとってはごくごく自然な事であったと?
そんな所だね…要するに僕らはそうする事にしたんだって事で、うん…そこに疑問の余地は無かった。そのThe Wedding Presentのアルバムに明らかにCINERAMA的なサウンドがあったのだとしてもだ。だって僕らはそれを8年間もやってきたんだから、明らかにCINERAMAの影響はあるよ…ある意味でそれらの要素を溶け込ませた感じだね。今となっては両方とも「昔僕がいたバンドの…」って説明しなくちゃならないのかもね(笑)。

「デイヴィッド・ゲッジのグレイテスト・ヒッツ」ですか(笑)。それで、このアルバム『Take Fountain』からはまた別のシングルをカットする予定はありますか?
無いな。だってCINERAMA名義ではあったけど"Don't Touch That Dial"もあったし、それを含めるならもう3曲もシングル・カットされているからね。そんなにたくさんシングルを切りたくはないよ。アルバムの価値をわざわざ下げるようなものだしね。マイケル・ジャクソンが7枚もシングルを出したみたいににね。

もしくは『The Hit Parade』で12枚も出すみたいに、でしょ?(一人でウケる)
そうだね、でもあれはちょっと意味が違うよ。ちょっとさっき言ったことを後悔しそうだな(笑)。

じゃあ期待しない方がいいですかね?(笑)
現時点では、予定がないってことだよ。

もう1つ訊きたいことが。今日になって気が付いたんですけど、『*(S)Punk』のヴィデオが出て15年が経ちましたけど、あれ以降も『Seamonsters』があったり活動停止があったりCINERAMAがあったり、様々な事がありました。何かDVDとかそういった事を振り返るようなものを作る計画はないんですかね?
そうね、その事については考えた事がある。この欧州ツアーの最終日にロンドンでライヴをやるんだけど、それをヴィデオに収めようかと思ってるんだ。何せ、最終日だしね。ところで、CINERAMAのDVD{訳注:2002年作『TORINO』発表時の英国ツアーを収録した『Get Up and Go』のこと}は見たことある?

あの…ないです。(咳払い)
リーズの友達が作ったドキュメンタリーで、CINERAMAのロードムーヴィー的なもの…厳密にはライヴ・ヴィデオではなくて、ただツアー中の模様を捉えたものでね。あれは本当に良いんだよ。ツアーをレポートしたTV番組みたいな感じでね。今受けているインタビューみたいなものも入っているし。それとか…とにかく僕の視点から撮られているのが面白くてね。あれは僕にとっての「Life on Telly」だよ(笑)。まあそうだね、彼にロンドンのショーを撮影してくれないか頼んでみるつもりだよ。あとは録音もちゃんとしなくちゃ…。

それは『*(S)Punk』みたいにヴィデオとライヴ・シーンが所々に入っているようなものになるんですかね?
まあ、そんな感じかな。今度出たDVDシングルの"I'm from Further North Than You"でも彼が撮影してるよ。

いいですねえ。それで、今80年代の影響下にあるバンドがたくさん出てきていますけど、例えばDepeche Modeみたいに安っぽいのとか。そういったバンドの中で何かThe Wedding Presentからの影響が見えるものってありますか?例えばBloc Partyとかは?
何人かBloc Partyについてそう言ってた人はいたね。でも別に僕自身はそうは思わないけど…

あのドラムに関しても?
…たぶん……難しいな。つまり、それは僕が言う話じゃないって事で、仮に僕がそれを指摘して彼らに伝えたとして「なんだって!聴いたこともねえや」って言われるのがオチだと思うよ(笑)。要は周期的なものでね。10年前よりはまたギター・バンドがもてはやされるようになったというだけで…。また巡っていくものなんだよ。僕らがそれ以前のバンドに影響されたようにね。もちろん、僕らだってそういう対象になるんだろう。

そろそろ時間ですからこの辺で切り上げようと思いますが、またThe Wedding Presentが始動して、この先しばらくは続きそうですか?
実際のところ、何にも予定はないよ…計画は建築家のためのもの、と常に思ってるからね。まあ(皮肉っぽい口調で)世界的に知られたポップの偶像としましては、自由でありたいのですよ(笑)。まあ夏まではずっとツアーが続くって事はわかってるけどね…

この3週間は大修行旅行みたいな感じですね。
そう呼べるのなら、そうなのかな。欧州の後は北米ツアー、その後はフェスティヴァルも待ってる。とにかく夏まではずっとこんな感じだ。その後、どうしたいか考えるよ。またCINERAMAもやりたいとは思っているんだよ、本当に。もし次のレコードがまたCINERAMAっぽいサウンドになって、ピール・セッションを聴いた人から「おいおい、なんでこれをCINERAMAって呼ばないんだい?」って言われた時のためにね(笑)。

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