INTERVIEWS

David Gedge Talks About The George Best Album
- Cooking Vinyl社プレス・リリースより -


『ジョージ・ベストはすごく反骨精神のある人で
 女の子とデートして翌日の練習時間には平気で遅れてきたり、
 毎晩ディスコで夜中まで遊んでり、
 いわばポップ・スター的な要素をすごく持っている人なんだ。
 同じマンチェスターってこともあるし、
 長髪で髭を生やして、シャツの裾を出すルーズな着方とか....
 すごくアナーキックだったしね。
 彼に憧れていたんだよ』
  [David Gedge Mar. 1993]
 
Davidは1960年4月23日にリーズで生まれているが、
 10代の多感な時期をマンチェスターで過ごしている

今現在、一番入手しやすい「George Best」は英Cooking Vinyl社が1997年に発売後10周年を記念してリイシューした"George Best Plus"です。オリジナルのCD通りの14曲に加え、その後自らのレーベルReceptionよりリリースされた2枚のEP"Nobody's Twisting Your Arm"と"Why Are You BeingSo Reasonable Now?"収録曲全9曲をボーナス・トラックに加えた23曲入りの「決定版」とも言えるヴォリュームです(しかしオリジナル盤の魅力を十二分に引き出しているとはとても言い難いリマスターがこのリイシューに大きな課題を残してしまいました)。
 そのリイシュー盤「George Best」発売時にプレス向けに配付された資料にはDavid Gedgeが今作を振り返ったコメントが掲載されました。これが、発売後10年の歳月を経て彼がこのデビュー作に対して抱いている非常に率直な気持ちが表れているものなので、ぜひみなさまにもお読み頂ければと思います。(私の拙い翻訳文では今イチわかりにくい、という方は原文の方も併せてお楽しみ下さい。)

Cooking Vinylが「George Best」を再発するにあたって、
このアルバムについて
何か書いてくれないかと頼まれたのだけど、
こういう事をするのはあまり良いとは思わないんだ。
僕の哲学として過去を振り返るより
未来を見つめる方が良いしね。
でもたまには懐古的な白昼夢を見るのもいいかなと思う。
 
さて、これに関してはいくつか個人的な思いがある。
まあ、これから先10年ぐらいは取りあえず忘れていようかな。
 
1991年の春のことなんだけども、Andrew Collinsという
(N.M.E.の)ジャーナリスト/ブロードキャスターが
The Wedding Presentの3rdアルバム"Seamonsters"の
レコーディングをやっていたミネソタのスタジオに
制作過程を取材しに来たんだ。
残念なことに、彼は着いた時には
もうレコーディングを終えていたんだけども。
Seamonstersの録音には
  たったの12日間しかかからなかったという)
で、会話は「George Best」も含めた
他の作品についての話になってね。


僕はこのアルバムが汚点であると思っている事を
何度か説明してきた...歌がどれほどヨタっているか、
全体のサウンドがどれほど貧相なものか、
そして歌詞の多くがどれだけ恥ずかしいものかをね。
「でも、そこがまさしく僕の好きな所なんだ!!」
コリンズはそう言った。


僕はTWPがずば抜けた高品質さと共に
アルバムをリリース出来るような状態を維持していると思うけど、
10年経ってみた今、
コリンズがほれこんでいたような
この作品のナイーヴさを発見することが出来た。

僕は最近じゃめったに「George Best」を聴かないんだけど、
でも聴くとなると、まるで昔のフォト・アルバムを
めくっているような感覚に陥るんだ。
曲が僕をかつてそれらが生み出された場所や
それをインスパイアしてくれた人たちを思い出させてくれる。
そして僕の回想に思いを巡らし始める...
僕は本当にこんなに速くコンサートでプレイしていたのだろうかと。


曲を書く事に関しては、モリッシーの影響を受けてはいたけど、
僕は少々シアトリカルなやり方で
自らの思いと失望を祝福するアプローチを
取る事に決めたんだ。


僕はそれまでのポップ・ソングの
リリシズムにありがちだった決まり文句(クリシェ)を
用いずにユーモアのある観察眼を持って、
意味のあるエモーショナルなシチュエーションを描きたかった。
そして個人的な体験を書いた時は、
特定の「男性」を登場させたくはなかった。


概して、特にバンドのベース・プレイヤーだった
キース(・グレゴリー)の助けもあって、
僕らはかなり成功したんじゃないかと思う。
少なくとも誰よりも速くギターをプレイ出来るという事で
世に知られる事になった訳だし。


しばしば耳につく「北っぽい感じ」
イギリス北部っぽい訛り、という意味合いだろう)は、
アメリア・フレッチャーがバック・ヴォーカルを務めた時などは、
「Daft」の上品なオックスフォード風の母音が
マンチェスター流発音で唄われて、彼女に嫌な顔をさせたものだ。


タイトルについて?
そうだな、The Wedding Presentが
「スマッシュ・ヒッツ」誌やThe Mailの日曜版まで
ありとあらゆる媒体で取り上げられるような
マーケティング・コンセプトを企てたかった、
という気持ちを否定するつもりは無いよ。


ただ、僕自身は単純に”世間離れした”ディスコティックの
アイコンとして僕のバンド名と
審判に泥を投げつけた世界的なサッカーの天才の名と共に
永久に記憶に残ればいいな、と思ったんだ。


キース(・グレゴリー)と僕が
あのマンチェスター・ユナイテッドのストライカーが
そのシャツを反抗的に短パンの上からハミ出させている写真...
あれは僕らの生活で最もエキサイティングだった時代を
即座に呼び起こさせるものだ...を見つけてきた事で
高名な「優勝請負人」はフルタイムで起用される事になった。


レコードの販売元だったレッド・ライノ...
彼らはCooking Vinyl同様に素晴らしかった...は
僕らがあのスーパー・スターの隣りに
ちょっと居心地悪そうにポーズを取っているところを
撮るようなフォト・セッションをアレンジしたんだ。
で、逢って一番最初に、僕は
このアルコール中毒から立ち直った事で有名な人物に
まったく気の利かない事を口走ってしまったんだ。

「やあジョージ、ビールでもどう?」
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